2013年9月23日月曜日

特別展「結の華 -佐賀鍋島家と宇和島伊達家の幕末・明治- 」  (その1)

今回から主な展示内容をご紹介します。ぜひこの機会に、伊達博物館を訪れていただき、本物をご覧ください。


※ 写真の著作権は公益財団法人鍋島報效会・公益財団法人宇和島伊達文化保存会にあり、無断転載を禁じます。

 

 

 【第1展示室から】  「大名華族」


  仮装舞踏服姿の鍋島直大・胤子夫妻像(写真)

  (かそううぶとうふくすがたのなべしまなおひろ・たねこふさいぞう)


【公益財団法人鍋島報效会蔵】


11代鍋島直大(なおひろ)・栄子(ながこ)夫妻の仮装舞踏服姿の写真油絵。裏書に「伊藤侯爵家にて 舞踏フワンシーボールの時 沸國ノ昔の人の姿」との墨書があり、これにより明治20年4月20日に催された伊藤博文首相官邸での大仮装舞踏会(fancy ball)で着用された衣裳であることがわかる。夫妻共に実際の衣裳が現存する点でも大変貴重である。




 永田町鍋島邸西洋館(写真)  (ながたちょうなべしまていせいようかん)


【公益財団法人鍋島報效会蔵】


西洋館は11代鍋島直大が明治15年(1882)に特命全権公使の職務を終えイタリアより帰国した後、約8年の歳月をかけて落成した三階建ての建物で、大サロンや舞踏場、大小の応接室などを兼ね備えたものであったが、大正12年(1923)の関東大震災で崩落した。




 鍋島直大御一家(写真)  (なべしまなおひろごいっか)


【公益財団法人鍋島報效会蔵】


鍋島家に残る古写真は圧倒的に丸木利陽の撮影になるもので,膨大な数に上る。おそらく明治20年前後からのお抱えか。写真の技術が確かで仕上げが綺麗、状態も非常に良い。本資料も丸木利陽の台紙に貼られ、侯爵鍋島家の家族の肖像である。直大・栄子夫妻に長男直映(明治24年3月1日英国留学の途に)、直大生母瀧村(明治25年3月9日没)、伊都子・茂子・信子・貞次郎・孝三郎、栄子に抱かれた直縄(明治22年5月6日生)たち子女が写る。明治23年頃の撮影か。


 
 

 洋装の鍋島栄子像(写真)  (ようそうのなべしまながこぞう)

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】

 
 
 

 ローマでの鍋島直大像    (ローマでのなべしまなおひろぞう)


【公益財団法人鍋島報效会蔵】



明治11年(1878)洋行から帰国した11代鍋島直大は、翌年ドイツ・イタリア皇族や前アメリカ大統領の接伴掛を命じられ,8月には外務省御用掛となる。そして、13年3月8日特命全権公使・駐伊在勤の辞令を受ける。7月9日、外務書記官の百武兼行らを伴い横浜を出港した。公使時代のローマで撮影した大礼服姿の直大。裏面には「My best compliments to Prince Jionii Gasuno/27th Jun 2541 of year / From Jansarnmi Nawohiro Nabeshima」「鍋島直大」の署名がある。2541年(西暦1881)6月27日は明治14年に当たる。百武兼行が精魂込めた油彩の鍋島直大像もこの大礼服姿である。服装一式も今に残る。


 

 

 

仮装舞踏服(ファンシーボール)  (かそうぶとうふく)

 
 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】   


 

11代鍋島直大着用の仮装舞踏服。フランス国王ルイ15世の末期からルイ16世の初期の頃(18世紀後半)の宮廷衣裳アビの形式で、緑色サテン地の上衣とキュロット、白サテン地のベストの他、鬘と三角帽からなる。上衣とベストは金モールとシークインの刺繍飾り付き。幸いなことに、直大夫妻が本品を着用時の写真に彩色を施した「写真油絵」が遺存し、裏書に「伊藤侯爵家にて 舞踏フワンシーボールの時 佛國ノ昔の人の姿」とある。これにより、明治20年(1887)4月20日に伊藤博文首相官邸で催された大仮装舞踏会(fancy ball)で着用されたことが分かる。 海外生活で貴族の嗜みを身に付けた直大は鹿鳴館開設当初より中心的な人物で、外国人教師を招いて洋式舞踏の練習会を開催し西洋風社交界の速成に務めた。 


 

菊御紋鳳凰付御盃・玻璃コップ・銀盃

(きくごもんほうおうつきおさかづき・はりコップ・ぎんぱい) 

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】

 
 

明治25年(1892)7月9・10日、永田町鍋島邸(現在の首相官邸一帯)新築落成祝いのための明治天皇、皇后の行幸啓の際に下賜された品。盃は薄手の白磁に金彩で菊御紋、鳳凰をあらわす。玻璃コップはカット技法で切子の面をつくり、胴部中央に菊御紋をクラヴィール技法であらわす。三枚一組の銀製盃は見込みに毛彫で唐草文様をめぐらし、三方に菊御紋を配す。この日鍋島家では新築の西洋館・日本館において御能、相撲、柔、剣術、琴演奏、手品等の余興を披露している。 


 



   授爵書附 (じゅしゃくかきつけ)  

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】   


明治2年(1869)の版籍奉還に伴い、明治新政府は公卿・諸侯(大名)の称を廃して華族とし、士族の上位に置いた。明治17年に至り華族令を制定し、華族を公・侯・伯・子・男の五等爵に区分し家格・勲功によって授爵し、国家に勲功ある政治家や軍人らも華族に列した。同年7月7日、36万石の旧佐賀藩主である鍋島家には、11代直大に侯爵が授けられた(侯爵24家のひとつ)。侯爵鍋島家はその後、12代直映、13代直泰と続き、昭和22年の日本国憲法施行により廃止された。 




 簪類 (かんざしるい) 

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】


    

これらの簪は11代鍋島直大夫人栄子所用のもの。いずれも非常に細く、繊細な模様がほどこされる。葡萄付きの鉄製簪は、房を非常に小さな真珠であらわす。また、竹楓蒔絵の簪には米があしらわれているが、一粒の米に「いろは」四七文字が書き込まれている。さらに、金属製の台以外に鼈甲製の台もあり、珊瑚や瑪瑙の飾り玉をつけた玉簪のほか、筍と蕨を添えたものがある。いずれも一つ一つ意匠が墨書された和紙にくるまれ保管されている。写真は左より金台茶杓形茶筅付簪、竹ニ楓蒔絵お米付簪、銀台水ニ鮎簪、銀台蔦模様簪、鉄台金葡萄付簪、銀台水仙模様簪、銀台松葉ニ梅花付簪、鼈甲台蕨金筍付小簪、鼈甲台銀菊之花簪、鼈甲台瑪瑙玉簪、鼈甲台珊瑚玉簪。


 


    松林図刺繍扁額 (しょうりんずししゅうへんがく) 

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】


         

明治25年(1892)に落成した永田町鍋島邸の西洋館に、関東大震災(大正12年)後は松濤邸に飾られていた刺繍の扁額。前方に大きく松林を配し、その間に楓樹をあらわす。松林の奥には水辺の景と遠山、一軒の家屋をあらわす。向かって右下には橋をわたし、その奥では二人の人物が漁(ヵ)をしている。左手前の楓樹には鳥が九羽とまり、遠方に雁の群をあらわす。綴織や刺繍・友禅染などの染織技法によって絵画的な画題を表現した作品は、明治から大正時代にかけて多く製作され、海外の万国博覧会や国内の勧業博覧会などに出品するため、あるいは洋風建築などを実際に装飾するために制作された。





    杏葉紋透し花瓶(含珠焼)

    (ぎょうようもんすかしかびん)(がんじゅやき)

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】          


 長寿のシンボルである鶴と亀を陰陽であらわしており、鶴の両翼と亀の甲羅には、鍋島家の家紋である杏葉紋が巧みに図案化され、組み込まれている。染付の亀とは対照的に、羽を広げた鶴と口縁部の瓔珞模様は、光を通すと美しい輝きを放つ。これは素地を透彫にした後、その部分に透明の釉を充填して焼成する「蛍手」と呼ばれる技法である。底部には「棣華堂/伍平製」との染付銘がある。棣華堂とは、武雄市西川登町小田志の樋口治実のこと。樋口は明治20年(1887)に含珠焼の専売特許を得ており、作品は「明の蛍手よりも精巧なり」と称されたという(「肥前陶磁史考」)。伝来の作品は少ない。



ボンボニエール各種   (ぼんぼにえーるかくしゅ) 



   【公益財団法人鍋島報效会・公益財団法人宇和島伊達文化保存会蔵】



ボンボニエール(bonbonniere)はフランス語で砂糖菓子(ボンボン)を入れる小箱のこと。日本でも近代以降に金平糖などを入れ、慶事の際の宴席出席者各人に引き出物として添えられた。有職や吉祥に因む文様や形を取り入れたものが中心で、宮中の伝統に関するものや戦時中の時勢を反映したものなど、その意匠は多岐にわたる。



 

 菊御紋付化粧道具  (きくごもんつきけしょうどうぐ) 

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】           


明治天皇の御遺物として大正元年(1912)12月、侯爵鍋島家に下賜された化粧道具。ビロード貼の箱の蓋中央に鼈甲製の菊御紋を配し、内部には鼈甲をふんだんに用いた櫛やブラシ、鏡、爪磨きなどを収める。佐賀藩最後の藩主となった11代鍋島直大は英国留学を経たのち駐伊特命全権公使、元老院議官兼式部頭、貴族院議員、宮内省式部長官、宮中顧問官等の要職を歴任し、天皇の信頼も厚かったという。



 牙彫鹿の背に仙翁置物 (げぼりしかのせにせんおうおきもの)

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】            


明治天皇の「御残品」として、大正2年(1913)9月17日に11代鍋島直大夫人の栄子が拝領した置物。巻子と団扇を手にした寿老人が牡鹿にまたがるさまを表す。寿老人は道教を起源とする延命長寿の神で、同じく長寿のシンボルである鹿を伴う。鹿と翁は象牙製、衣服と土坡は紫檀製である。鹿の角や鼻先の質感、髭をたくわえた寿老人の柔和な表情などを、牙彫細工で巧みに表現している。




 

 

 牙彫猿の桶作り置物 (げぼりさるのおけづくりおきもの)

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】 

           

 大正2年(1913)12月2日に鍋島家11代・侯爵鍋島直大夫人栄子が昭憲皇太后より拝領した牙彫置物。擬人化された猿が身の丈よりも大きな桶作りに精を出すさまをあらわしている。桶の側面に底板をはめるための溝を削る親猿と、その傍らで鉋屑で遊ぶ子猿、桶の周囲には道具箱や槌を散らしている。




 菊御紋付牡丹孔雀象嵌銀製花瓶

(きくごもんつきぼたんくじゃくぞうがんぎんせいかびん) 


                   
        

          【公益財団法人鍋島報效会蔵】 


永田町鍋島邸が落成した明治25年(1892)、明治天皇の行幸が行われた際に11代鍋島直大へ下賜された品。帝室の王権的イメージの象徴的形態とされる、いわゆる「宮内省型」の銀製花瓶で、頚の前後中央に菊御紋を表し、金・銀・銅などによる象嵌の技法で向かい合う雌雄の孔雀や松樹、牡丹をあらわす。金沢銅器会社は明治10年(1877)2月に長谷川準也(1841〜1907)らによって設立された「銅器会社」が同15年6月に改称したもの。 


 

  明治天皇行幸図 (めいじてんのうぎょうこうず)

 

【公益財団法人鍋島報效会蔵】


        

明治24年(1891)に永田町鍋島邸の日本館が、同25年には西洋館が落成した。本図は、同年7月9日に落成を記念して行われた明治天皇の鍋島邸行幸の様子を描いている。玄関先には直大・栄子夫妻はじめ、伊達宗城・徳川家達・細川護久・前田利嗣らの親戚、また家職らが迎え出ている。右上方の色紙形には、この日天皇が西洋館三階から東京湾を眺望して詠まれた御製和歌を栄子が書している(皇后は翌10日に行啓)。本図は11代鍋島直大夫人栄子刀自80才を祝し、旧藩関係の団体が相謀り、秀島英麿に嘱して謹写、昭和10年12月22日に奉呈したもの。 


 

 

2013年9月18日水曜日

「結の華  ー佐賀鍋島家と宇和島伊達家の幕末・明治-」      関連イベントのお知らせ




 現在、伊達博物館では特別展 「結の華  ー佐賀鍋島家と宇和島伊達家の幕末・明治-」 を開催中です。この期間中に開催されるイベントについて紹介します。 

「あつまれ DATEキッズ」
      ~お殿様気分で茶室に座り、香あそびを楽しもう~ 

★日時   平成25年 9月29日(日) 13:30~15:00

★参加費  1組 500円 (保護者の入館料・入園料は含まれません)

★会場  伊達博物館および天赦園茶室

*天赦園は博物館より徒歩2分

          ★内容  香あそび 

 博物館で展示中の香道具の説明を聞いた後、茶室で香りの記号をデザインし、

香あそびを体験します。 

★ 対象は中学生以下。但し小学生以下は保護者の付き添いが必要です。

※ 参加希望の方は伊達博物館受付で参加整理券を受け取り、13:30に博物館内

第2展示室にお越し下さい。



   ―手に触れる―特別鑑賞会
      

    「結の華 -佐賀鍋島家と宇和島伊達家の幕末・明治-」展開催を記念し、鍋島家ゆかりの品々と、

  伊達文化保存会の所蔵品をはじめとする優れた文化財を、伊達家ゆかりの名勝天赦園に特別展示

  し、実際に手に触れて楽しんでいただくことを目的とした鑑賞会を催します。


    薫り高い美術を伊達家の茶室で味わっていただきながら、本物の雰囲気を目の当たりに、またそれ

  らをガラス越しではなく手にとって観賞していだだくまたとない機会です。


*参加者には、薄茶、生菓子などが振る舞われます。

*茶道の嗜みやお稽古の経験の有無にかかわりなくお楽しみいただけます。
 
*一般の方々に、美術・工芸・武具等の資料に実際に触れていただくことが目的です。
 

●日時  
 

     平成25年10月14日(月)体育の日    
  

     10:00~  11:30~  13:00~  14:15~  15:30~
      

     各席 20名 

      ●会場
 
     天赦園内 春雨亭ならびに潜淵館に、展観席および薄茶席を設けます。
                          *天赦園は博物館より徒歩2分 
     
      ●人数
 
     各席20名・申し込み多数の場合は抽選となります。

       ●会費
 
     参加費 一人 3,000円  (当日会場にて申し受けます。)
 
        ※ (記念品、特別展博物館図録、天赦園入園料を含む。)

       ●申し込みについて
 
     申し込み希望者は下記の内容を明記の上、伊達博物館に葉書またはFAXにてお申し込み
 
    ください。締切は 9月30日(月) (消印有効)(faxは9月30日到着分まで)

 
     ①郵便番号・住所  ②氏名  ③年齢  ④電話及びfax番号  ⑤参加希望の時間帯



    ●申込先
 
      〒798-0061  宇和島市御殿町9-14  宇和島市立伊達博物館
 
       TEL0895227776   FAX0895227819

       ●招待券 (参加証)
 
     参加者には時間帯などを明記した招待券 (参加証) を10月10日(木)頃までに送付します
 
   ので、当日受付に参加費をそえてお渡しください。
 
        *必ずしも、ご希望の時間通りのご案内とはかぎりません。

 
      ●この件に関するお問い合わせ

・宇和島市立伊達博物館  TEL0895227776 (受付時間 9:00~17:00 月曜日休館)

・宇和島伊達文化保存会  TEL0895220034 (受付時間 9:30~16:30 土・日は休み)

【主催:特別鑑賞会実行委員会    共催:(財)伊達文化保存会】


 















2013年9月8日日曜日

特別展 「結の華 -佐賀鍋島家と宇和島伊達家の幕末・明治-」   開会式を迎えました。

  9月6日(金)午前9時から、恒例の平成25年度特別展の開会式及び内覧会を行いました。当日は、各地に被害をもたらした台風17号も去り、秋の日差しが注ぐなか、公益財団法人鍋島報效会より鍋島家第15代御当主鍋島直晶様をお迎えして開催しました。厳粛な中にも華やかな開会式、内覧会の様子をお知らせします。

  
80余名のご出席をいただき、エントランスホールで開会式を行いました。

         主催者を代表して、石橋寛久宇和島市長のあいさつで開会しました。

 宇和島伊達文化保存会理事長・宇和島伊達家第13代御当主伊達宗信様よりごあいさつをいただきました。 

 公益財団法人鍋島報效会会長・佐賀鍋島家15代御当主 鍋島直晶様よりご祝辞をいただきました。

芳心会木村事務所木村宗慎様よりご祝辞をいただきました。

引き続いてテープカットを行いました。 

 続いての内覧会では、今回の特別展を担当した伊達博物館学芸員が今回の特別展のねらい、見ていただきたい点などについて詳細に説明を行いました。

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【第1展示室】







【第2展示室】








  【第3展示室】








 

(ゆい)(はな) -佐賀鍋島家と宇和島伊達家の幕末・明治-』


1.期間    平成25年9月6日(金)~10月14日(月)  (開館34日)

2.開催趣旨

 佐賀鍋島家と宇和島伊達家とは深い縁で結ばれており、江戸時代に両家では3組もの縁談が結ばれた。宇和島伊達家5村候(むらとき)、7宗紀(むねただ)、8宗城(むねなり)のもとへそれぞれ(もり)姫、(みよ)姫、(なお)姫が夫人として迎えられている。この縁から,現在でも伊達
家には鍋島家の家紋である杏葉(ぎょうよう)紋のあしらわれた調度群や佐賀焼きと記された

磁器類も残されており、また宇和島市内個人宅には観姫所用と伝わる雛人形・雛道

具類も現存している。

 鍋島家は九州北西部に位置する35万7千石の雄藩で、明治期には侯爵家として活躍した。旧佐賀藩主11直大(なおひろ)は皇室の信任厚く 「鍋島は神のような人柄だか

(『鍋島直映公傳』)と称されるほどであり、明治天皇ゆかりの品も残される。
 藩政期には、有名な武士の経典『葉隠(はがくれ)』が佐賀藩祖鍋島(なお)(しげ)を理想像として書

れており、歴史に根ざす一貫した人間教育には現代にも通じるところがある。幕末

には西洋文化を積極的に取り入れ、長崎警備の重要性から西洋式軍備の増強を
図っており、10(なお)(まさ)が西洋の蒸気船に試乗する様子を描いた「鍋島直正和蘭
船乗込図」と題される絵巻物も残される。近年この絵図に酷似した絵図が伊達家に
 
現存することが見出され、当時の両家の深い結びつきが伺われる。また、佐賀では藩御用の鍋島藩窯(はんよう)・鍋島更紗(さらさ)・鍋島緞通(だんつう)などの優れた工芸品を産出し鍋島ブラン

ドを確立し、今に伝えている。                                                                              

 平成6年度に開催された当館の開館20周年記念特別展において、鍋島家と伊達

との深い縁を紹介し好評を得たが、再び鍋島家資料の閲覧を羨望する声も多い。

藩の結びつきから、現存する親交の深さを感じられる品や美術工芸品を紹介する

ことで、相互の地域振興や文化の広がりに貢献していきたい。
   


3.会場  宇和島市立伊達博物館

    (展示室:空調完備―平均気温22度・相対湿度60%±2) 


4.主催 
  
  宇和島市・宇和島市教育委員会・公益財団法人宇和島伊達文化保存会


5.協力

公益財団法人鍋島報效会(徴古館)・佐賀県立博物館・佐賀県立美術館

佐賀県立佐賀城本丸歴史館・佐賀県立図書館・武雄市図書館歴史資料館・
九州国立博物館


6.後援(名義使用・宣伝活動)

NHK松山放送局・南海放送・テレビ愛媛・あいテレビ・愛媛朝日テレ

宇和島ケーブルテレビ・愛媛新聞社・読売新聞大阪本社

朝日新聞社松山総局・毎日新聞社松山支局・産経新聞社松山支局


7.展示構成

 【第1展示室  「大名華族」 】

明治期以降の侯爵家ゆかりの品、天賜品

 鍋島家:鍋島家11(なお)(ひろ)とその夫人栄子(ながこ)を中心とした明治天皇ゆかりの品

 永田町鍋島邸西洋館(関東大震災により崩落)を飾った品

 伊達家:伊達家8代宗城を中心に、天皇から拝領した皇室ゆかりの品 

【第2展示室 「婚礼の華」】

婚礼にまつわる調度品

  伊達家:鍋島家の家紋・杏葉紋蒔絵調度品

  伊達家7代宗紀・観姫所用の品

  鍋島家:観姫輿入時の記録 

 
 【第3展示室  「幕末の華」 】

幕末の殖産興業品

  鍋島家:鍋島家10代直正ゆかりの品

  鍋島藩祖・佐賀藩初代の品

  伊達家:伊達家8代宗城所用の品

  殖産興業:鍋島ブランド(鍋島更紗(さらさ)、鍋島段通(だんつう)、鍋島(はん)(よう)

  西洋軍事(蒸気・大砲鋳造に関する品) 


8.   観覧料

大人/500円 大・高生/400円 中学生以下/無料

※団体(20名以上)並びに敬老(65才以上)及び身障者手帳を所持する方は

大人/400円 大・高生/200円 中学生以下/無料