2014年2月28日金曜日

香木 銘 「柴舟」(しばふね)を展示しています。

「ひな人形とひな調度展」に併せて、宇和島伊達家伝来の美術品の中でも特に有名な「香木 銘『柴舟』(しばふね)と『唐物小茄子茶入』(からものこなすちゃいれ)を展示しています。この品は、伊達政宗から宇和島藩祖である息子秀宗に贈られたものです。この機会にぜひご覧下さい。


香木 銘 「柴舟」 (しばふね)

政宗より拝領   (公益財団法人宇和島伊達文化保存会蔵)

寛永年間(1624~1644)に日本に伝来したとされる香木。本資料は、父政宗から宇和島藩祖となった秀宗へ「唐物小茄子茶入」(からものこなすちゃいれ)とともに贈られた香木である。この香木は「一木三銘」とも「一木四銘」とも称され、同じ香木ながら分木して伊達政宗の所持した香木を「柴舟」(しばふね)、細川忠興(三斎、1563~1646)の所持は「白菊」(しらぎく)、小堀政一(遠州、1579~1647)所持は「初音」(はつね)の銘を持つ(また後水尾天皇1596~1680)の所持したものは「蘭」(ふじばかま)という)とされていることからもよく知られている(諸説がある)。

政宗は、幼い頃から秀宗へ文武両道にわたりこと細かく指導していた。秀宗にこの「柴舟」を贈るに際しての書状には、「秘蔵のしば舟の香一包」「今程可様の香は有間敷」と、政宗がその価値を特筆している。今日では寛永年間以後日本に入った香木の中で比類なき名香であると評されている。香木を守るために竹の皮で包まれ、錫製の小箱に入れた上で木箱に納め、厳重に保管されている。図版には伊達家伝来の香木より「一木四銘」を掲載している。
                              (「宇和島伊達家伝来品図録」解説より)



唐物小茄子茶入(からものこなすちゃいれ)

      政宗より拝領   (公益財団法人宇和島伊達文化保存会蔵)

父政宗から息子秀宗へ贈られた茶入れ。茶入れは茶の湯では特に大切にされた濃茶を入れる陶製の小壷。なかでも「唐物(からもの)」と称する高級舶来品が収集され、権勢を示す道具として大いにもてはやされた。



               

伊達政宗書状    

(年不詳)1月3日  小茄子茶入、柴舟のこと (公益財団法人宇和島伊達文化保存会蔵)

改年の挨拶に続き、政宗秘蔵の貴重な名香「柴舟」(しばふね)と「唐物小茄子茶入」(からものこなすちゃいれ)を譲る思いが綴られている。香木「柴舟」を政宗が入手したのは寛永3(1626)年の上洛中。政宗・秀宗共に在府中とみられることから、この書状は寛永5年以降のもの。




※香木(こうぼく)
心地よい芳香を持つ木材のこと。沈水香木(じんすいこうぼく、俗称を沈香〈じんこう〉)と白檀(びゃくだん)が有名である。沈水香木(沈香)は、特に香道に使用される香木であり、薄片に削ったものを加熱して芳香を楽しむのに用いられる。白檀は熱することなく香るため、香道以外にも仏像などの彫刻や扇子や数珠などの材料として用いられる。比重が重く水に沈む、これが沈水香木(沈香)という名の由来である。沈香のうち、特に質の良いものは伽羅(きゃら)と呼ばれる。「日本書記」によれば、推古天皇3年(595)に淡路島に流れ着いたのが沈香の日本伝来と言われている。強壮、鎮静などの効能がある生薬でもある。

2014年2月15日土曜日

平成26年 「ひな人形とひな調度展」 開催中です。

  平成26年も恒例の『ひな人形とひな調度展』を開催いたします。今年は7代藩主夫人の観姫(みよひめ)が所有していたひな人形や館蔵品である『有職雛』(ゆうそくびな)の展示に加えて、宇和島伊達家に伝来する品々の中から、伊達政宗直筆の書状、初代藩主秀宗が父である政宗から拝領した「香木 銘『柴舟』(しばふね)」、「唐物小茄子茶入(からものこなすちゃいれ)」をはじめ、あでやかな美を誇る織物「蜀錦」(しょっきん)など、貴重な美術品を併せて展示しています。ぜひ大勢の皆様のご来館をお待ちしております。


◇ 期間: 2014年2月15日(土) ~ 4月6日(日)

◇ 期間中の休館日: 月曜日、但し祝日の場合は翌火曜日

◇ 開館時間: 午前9時 ~ 午後5時  (受付終了16:30)

◇ 入館料: 大人500円 大・高生400円 中学生以下無料 団体(20名以上)並びに敬老手帳

 及び身体障害者手帳をお持ちの方は 大人400円 大・高生200円

 
(有職雛:伊達博物館蔵)


雛祭り(ひなまつり)の語源とは?

「雛祭り」という言葉が使われるようになったのは江戸時代からと言われています。平安時代、貴族のあいだにあった「ひいな遊び(人形遊び)」と、身体につく災いを紙人形に移し、川や海へ流すという「巳日祓」(みのひはらえ)とが結びついて今日行われるような「雛祭り」の原型ができたそうです。



















有職びな(ゆうそくびな)とは?

有職雛(ゆうそくびな)とは公家のしきたりや装束を忠実に再現したひな人形のことを言います。17体の人形と約210点にも及ぶ調度品、本膳20人揃が一組になっています。このひな人形が横幅7.5mもあるひな壇に飾られる姿はとても見応えのあるものです。丹精こめられた人形達の姿をご覧ください。

このひな人形は、大正13年(1924)にひな人形細工師である大木平蔵(おおきへいぞう)によって作られたもので昭和49年(1974)に当館の開館を記念して宇和島市の名誉市民大宮庫吉(おおみや・くらきち)氏のご夫人によって博物館に寄贈されました。

今回は「有職びな」についてご紹介しました。次回も多くの展示品について紹介していく予定ですのでお楽しみに。

2014年2月11日火曜日

6年生の出迎え授業

 2月6日、市内鶴島小学校の児童の皆さんが博物館を訪れました。「総合的な学習の時間」に、「宇和島伊達家について調べよう。」というテーマで研究している15名の6年生を迎えて、出迎え授業を行いました。

展示室に入る前に、宇和島伊達家の成り立ち、9名の藩主について簡単な説明を受けた後、現在、展示中の「江戸の狩野派展」について、見学しました。見学を終えて、新たな興味・関心、疑問が生まれたようでした。


   ようこそ、鶴島小学校6年生の皆さん

                      香道具についての展示を鑑賞中。
                                 
社会科の学習で学んだことを確認します。
















             江戸の狩野派と伊達家の繋がりについても展示しています。


第4展示室「村候と信仰」
    
   5代藩主伊達村候(だて・むらとき)と、仏教の繋がりについて展示中です。


潮音寺に伝わる30体以上の仏像も展示中です。

                   気づいたことを懸命にまとめていました。

 子どもたちからの質問事項は
1 伊達家と豊臣家の関係について
2 伊達宗城は戦をしたことはあるのか?
3 伊達家はどれほどの兵力を持っていたのか?
4 伊達家の財宝について
5 伊達秀宗や伊達宗城の功績や魅力について
6 宇和島音頭「伊予の宇和島十万石」の意味は?  等でした。

来年2015年は、宇和島伊達家の藩祖「秀宗」がここ宇和島にきて400年にあたります。児童の皆さん、これからも自分の故郷宇和島について興味を持って学習を進めて欲しいと思います。
短い時間ではありましたが、伊達博物館に展示している貴重な歴史資料を目にしてふるさとについての学習が進んだことと思います。

来る2月15日(土)から4月6日(日)まで、「ひな人形とひな調度展」を開催します。例年、市内外の幼稚園や、保育園、小学校から大勢の子どもたちが来館してくれます。今年も首を長くしてお待ちしていますよ。

2014年2月1日土曜日

伊予の宇和島伊達舞台(市川猿之助宇和島歌舞伎)

 今回で3回目となる宇和島・小江戸フェステイバル「宇和島伊達舞台」(主催・四国の小江戸~宇和島文化発信プロジェクト実行委員会)が1月31日(金)、2月1日(土)の2日間にわたって開催されました。

平成23年度より始まった「四国の小江戸~宇和島文化発信プロジェクト」では、当時まだ市川亀次郎であった4代目市川猿之助さんを迎えての歌舞伎舞踊公演を核にしつつ、一方で宇和島圏域の文化資源の活性化と、掘り起こしを目論み、地域に根ざした活動を続けてきました。今回の舞台では、歌舞伎公演に加えて、郷土宇和島の諸団体による郷土芸能も披露されました。

主催・四国の小江戸~宇和島文化発信プロジェクト実行委員会
 (当日のプログラムから)

第1部
1.郷土芸能披露
    佐伯町の獅子舞(佐伯町獅子舞保存会の皆さん)
    宇和島さんさ(宇和島さんさを楽しむ会・藤間流ひな弥会・四国民舞輪の会の皆さん)
    八ツ鹿踊り(八ツ鹿保存会の皆さん)
    鹿の子(立間鹿の子保存会の皆さん)
2.市川猿之助トークショー
3.素踊り 「助六」 市川猿之助

第2部
4. 見どころガイド 木村宗慎
5. 歌舞伎舞踊 「女伊達」 市川猿之助
 

ここでは、2月1日(土)に行われた、商店街の「お練り」について紹介します。


商店街入り口で、市川猿之助さんの到着を待つ大勢の人々。


                      華やかな着物姿の女性が目立ちました。


 
おそろいの法被でお練りを盛り上げる実行委員の皆さん。


                                    花吹雪が舞う中、人力車で進みます。
















              「おもだかや~、にっぽんいち~」のかけ声もとんでいました。




                  南予文化会館前でお礼のご挨拶。この後は
                  宇和島城・城山でのイベントが控えています。

1月31日の夜の会を鑑賞しましたが、見応えのある公演でした。市川猿之助さんと囃子方の田中傳次郎さんのトークショーではユーモア溢れるお話が聞けました。猿之助さんのご指摘の通り、翌日のお練りでは「どこにこれだけ人がいたのかな?」と思うくらい、普段は人通りが少ない商店街が人々の熱気であふれかえっていました。ぜひ今回の公演をひとつのステップとして、来る2015年の「宇和島伊達400年祭」に繋げていきたいものです。